解決事例

事例09 実況見分調書を元に当方に有利な内容で解決した事例

ご相談者様の状況

a

  • 相談者:Aさん(被害者)
  • 相手方:Bさん(加害者)

ご相談内容

優先道路を走行していた依頼者が交差点へ進入したところ、右方から同交差点に向かって走行していた相手方が同交差点内を十分に確認することなく同交差点へ進入したことから、依頼者車両と衝突した。

争点

過失割合

本事案の争点は過失割合でした。
本事例の基本的な過失割合は10(依頼者)対90(相手方)でした。
もっとも、依頼者は、相手方が一時停止標識もあったにも関わらずに一時停止もせずに交差点に進入したことから、依頼者の過失は0であり、仮に譲っても5対95であるという主張でした。

見込み

基本的な過失割合を前提とすると、相手の著しい過失を主張出来て5対95であったため、0主張は難しいと思われる事案でした。
そのため、依頼者様とも協議をし、5対95の主張を通すという方針で相手方と交渉をすることにしました。

解決までの経過

① 実況見分調書の取得

まず、事故状況を調べるために実況見分調書の取り寄せを行いました。
実況見分を確認したところ、相手方は警察に対して一時停止を前提とした説明をしていたため、この記載部分は依頼者の主張と食い違っており、当方にとって有利とはいいがたいものでした。

もっとも、衝突地点に関する記載を確認したところ、【相手方が依頼者を確認した地点】と【相手方が依頼者と衝突した地点】が同じ地点となっていました。
これはつまり、相手方は、依頼者と衝突する直前に依頼者を確認したということを相手方が認めているということでした。

相手方の走行する道路は一時停止の標識が立っていたことから、通常であれば一時停止を行い、左右を確認してから交差点へ進入すべきものです。

しかし、相手方は、依頼者と衝突する直前に依頼者を認識したということでしたので、左右をきちんと確認していなかったものと思われました。

また、相手方の走行していた道路は田畑の広がる道路であったことから、とても見通しのよい道路でした。そのような道路であるにも関わらず、依頼者車両を直前まで発見できなかったというのは不自然な状況でした。

したがって、相手方は、交差点に進入するにあたり、全く左右の確認をしていなかったか、仮にしていたとしても著しく不十分なものであったと思われました。

② 相手方との交渉

以上の事故状況を主張し、当方としては相手方の著しい過失も認められることを前提に過失割合を5対95の主張をしました。

しかし、相手方からは、「全く道路状況を確認しなかったわけではないから著しい過失にはあたらない」と主張してきました。

そこで、当方としては、実況見分調書の記載や道路状況の写真等を資料として説明を行い、相手方を説得しました。 その結果、上記のとおり、過失割合を5対95とする当方の主張が認められました。

解決結果

当方の主張が認められ、過失割合を5対95を前提とする和解となりました。
また、損害の基準となる金額も裁判基準を前提として主張したことから、当方に有利な内容で解決することができました。

所感

交通事故では、過失割合が争点となることが多々あります。
双方の言い分が食い違う場合には、客観的な証拠をもって十分に説明ができるかがとても重要となります。

実況見分調書は、相手方(加害者)が立会いの下に警察に説明した内容が記載されていることから、必ずしも当方に有利な事実が記載されているとも限りません。

しかし、相手方にとって不利な事実が記載されている場合には、相手方が不利な事実を認めたということも言えると思われます。
実況見分調書を細かく見ることにより、当方に有利な事実も見えてくることがあります。
今回は、実況見分調書の重要性を改めて実感したものでした。

   
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