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離婚したら1億円?〜婚前契約の有効性

弁護士 大野貴央

婚前契約、ご存知ですか?

皆さん「婚前契約」という言葉はご存じでしょうか。

婚前契約とはその言葉通り、夫婦になろうとする男女が婚姻前に、

  • 結婚生活における様々な取り決め
  • 万一離婚に至った場合の財産関係の処分

について、双方の合意に基づく「契約」という形で取り決めを行うものです。

婚前契約は欧米が発祥とされており、現在日本では殆ど普及していませんが、近年「婚前契約書」の作成請負を謳う専門家が登場する等、徐々に社会的認知が進んできているようです。

本稿では、「婚前契約」でどのようなことを決めることができるのか、またそれは、法的に有効なものといえるのかを解説していきます。

日本の民法に書いてあるの?

日本の法律(民法)には、いわゆる「婚前契約」そのものを定める規定はありませんが、「夫婦財産契約」についての規定があります(民法756条)

民法756条では、

・夫婦いずれか一方の申し出により自由に離婚できること
・結婚から5年以上10年未満の場合に離婚する時は、財産分与として1億円を支払うこと(!)

等が婚姻前に合意されていました。

しかし裁判所は、

離婚という身分関係を金員の支払によって決するものと解されるから、公序良俗に反し、無効と解すべきである、

と判断しました。

これは金額の大きさというより、
■双方の合意の下で形成すべき身分関係(結婚や離婚)
について、
■どちらか一方の意思のみで決めることができる点

が公序良俗違反であると捉えているものと思われます。

上記裁判例の考え方からすると、
「いつでも夫婦一方の申し出によって、自由に離婚できる」
等の婚前契約も、無効と判断される可能性が高いでしょう。

まずは専門家に相談しましょう

日本ではまだまだ普及しているとはいえない「婚前契約」ですが、安心な結婚生活の実現のため、婚前契約を結ぼうとするカップルが増えていくかもしれません。

本稿で紹介したように、婚前契約は様々な事柄を自由に決めることができる一方、法的な有効性が問題になるケースも少なくありません。

し婚前契約を交わすのであれば、少なくとも一度は、専門家である弁護士にご相談いただいた方がよいでしょう。

   
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