ご相談者様の状況
- 相談者:Aさん(被害者) 60代
- 相手方:Bさん(加害者)(Bさん加入の損保会社C社)
ご相談内容
Aさんは家族の運転する車に同乗していたところ、Bさんの運転する車に追突される事故に遭い、首や肩の痛み(いわゆるむち打ち症)や耳鳴りに悩まされるようになりました。
Aさんは事故後、Bさん加入の損保会社であるC社の対応の下、整形外科へリハビリ通院を続けました。リハビリの効果があり、首や肩の痛みは寛解した一方、耳鳴りの症状は続いていました。
本件は追突事故で、被害者のAさんには過失がなかったため、Aさん加入の損保会社による示談代行は利用できませんでした。
Aさんは当初、自身でC社担当者と賠償額の交渉をしていましたが、担当者の提案が二転三転したことに不信感を抱くようになり、弊所へ相談にいらっしゃいました。
解決内容
Aさんは、賠償額の交渉でC社担当者に不信感を抱いたことから、弁護士による交渉で適正な賠償額の獲得を希望されていました。また耳鳴り症状に悩まされていたことから、専門医である耳鼻科できちんとした治療を受けることも希望されていました。
依頼を受けた担当弁護士は、Aさんの希望を踏まえ、まずはC社に対し、耳鼻科での通院(治療費)を認めてもらうよう交渉しました。
C社は当初、事故による怪我と耳鳴り症状の因果関係に疑問があることを理由に、耳鼻科への通院(治療費の賠償)に難色を示し、交渉は難航しました。
交渉を重ねた結果、耳鼻科への通院を1か月に限り認めてもらうことができ、また最終的な賠償額についても、裁判で認められる基準に近い金額で和解をすることが出来ました。
所感
交通事故による怪我と自覚症状との間に一定程度の因果関係(相当因果関係)が認められない場合、賠償義務者である相手方(損保会社)は、法的に治療費の支払い義務を負いません。
そうすると、被害者がいくら「自覚症状があるので治療を受けたい」と要望したとしても、損保会社からはあっさり拒否されてしまうケースもあります。
弁護士としては、裁判へ移行した場合の見通し(この場合は因果関係の立証の難易度)を踏まえ損保会社との交渉に臨みますが、示談段階では双方の譲歩が基本ですから、一定の範囲で損保会社が治療を認めることもあります。
本件では難しい見通しを持っていましたが、交渉の結果、最終的に依頼者の希望に沿う形で治療を進めることができ、幸運なケースといえました。
所感
5ヶ月