解決事例

事例07 事故再現の結果訴訟に至らず解決できた事例

ご相談者様の状況

男性アバター

  • 相談者:Aさん(被害者)
  • 相手方:Bさん(加害者)

ご相談内容

交差点での事故。Aさんが直進、相手方が反対方向から右折。
依頼者が交差点へ進入した直後に、突然相手方が右折しようとしたことから、Aさんが衝突を避けるためにハンドルをきったところ、Aさんが近くの石垣に衝突したという事案。

相手方は、右折するために停止していたところ、Aさんがハンドル操作を誤って勝手に石垣に衝突したと主張しており、全く責任はないという主張でした。

他方で、Aさんは、交差点へ進入したところ、相手方が急に右折しはじめたためにハンドルを切らざるを得ない状況となり、事故に至ったという主張でした。

非接触型の事案で、相手方が因果関係を否定していたことから、因果関係及び過失割合が争点となりました。

解決内容

証拠の収集

①物件事故報告書
物損事故の場合には実況見分調書は作成されませんが、警察が作成する簡易な物件事故報告書を取得することが可能です。情報としては少ないですが、事故当時の状況を知る手掛かりとなります。

②関係者からの事情聴取
また、依頼者は店舗先の石垣に衝突し、事故直後に店主に事故状況を説明していたとのことでしたので、店主に事故状況についての聴取を行いました。

今回は有益な情報を得ることはできませんでしたが、関係者からの聴取により有利となる事情を聞きだせることがあります。

③事故状況の再現
さらに、事故現場図に依頼者と相手方の車両を実際の縮尺に合わせたサイズのものを配置して、依頼者から詳細な事故状況を聴取しました。
事故状況の再現により、車道や周囲の障害物との距離関係等が詳細に分かります。

本件は、中央車線がなく道路幅が狭かったことから、相手方車両が少しでも動くと依頼者車両は回避行動をとらなければ相手方車両と衝突してしまう程の距離関係であることが分かりました。

④陳述書の作成
また、本人から聴取した事情を陳述書にし、事故当時の状況を図等も用いて説得的に相手方に主張できるようにまとめました。

交渉

実際の交渉では、(1)で収集した証拠とともに、因果関係が認められた裁判例等も相手方に提示しながら交渉を行いました。
その結果、当方の主張が全面的に認められる形となりました。

解説

交通事故では、因果関係や過失等が争点となることが多くあります。
法律的なことのみならず、当事者の感情面も反映されることがあることから、相手方が責任を否定する場合には説得的に説明できる証拠収集が重要となります。

今回のケースでは、相手方は責任を全く認めるつもりはないという主張でしたが、当方が事故再現図や裁判例等も提示して説明できたことで、訴訟に至らず解決することができました。

事故再現等は手間がかかり行わないケースもありますが、事故状況が争点となった場合には必須であると思われます。

今回は、事故再現をした結果、相手方の右折進行がない限り、Aさんがハンドルを切らなければならない状況にはならず、本件事故には至らなかっただろうということがよく分かりました。事故再現の重要性を改めて痛感した事案でした。

   
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