解決事例

事例14 熟慮期間経過後の相続放棄が認められた事例

ご相談者様の状況

男性アバター

  • 相談者Aさん 40代男性
  • 被相続人Bさん Aさんの母、約2年半前に死去

事案

Aさんは約2年半前、実母であるBさんを病気で亡くしましたが、Bさんには目立った財産がないと思われたため、Aさんは相続に関する手続を特に行いませんでした。

ところが今年に入り、突然、債権回収業者であるC社からAさんの元へ通知が届きました。通知の内容は、Bさんが生前数十万円の借金をしていたことや、Bさんの相続人であるAさんが借金の返済義務を負うことになるというものでした。

驚いたAさんは、C社への対応を相談するため、弊所にいらっしゃいました。

解決内容

本件ではAさんが相談にいらっしゃった時点で、被相続人Bさんが亡くなってから約2年半が経過していたため、相続放棄ができる「相続の開始があったこと(被相続人の死去)を知った時から3か月」の期間(いわゆる熟慮期間)を大幅に超えているという問題がありました。

依頼を受けた担当弁護士は、Aさんに対し、熟慮期間内に相続放棄をしなかった理由を確認したところ、以下の事情が確認できました。

Aさんは、実母であるBさんとは長い期間離れて暮らしており、生前のBさんからは、借金の事情等を全く知らされていませんでした。

またBさんは生前、生活保護を受けており、Aさんとしては、生活保護を受けているBさんが金融機関の審査を経て借金などできるはずがないと考えていました。

 

そこで担当弁護士は、家庭裁判所に対し、相続放棄の手続を申し込むと共に、上記の事情を説明し、Aさんがすぐに相続放棄の手続を取らなかったことは、やむを得なかったのだと主張しました。

担当弁護士の説明により、家庭裁判所はAさんの事情を理解し、本来の熟慮期間を大きく経過していながらも、相続放棄の手続を受理してくれることになりました。

所感

相続人が被相続人の生前の借金の責任を負わないようにするためには、相続放棄の手続をすることが考えられます。しかし相続放棄の手続には、相続の開始を知ってから3か月という期間制限があり、期間を過ぎてしまうと、相続を認めたと扱われてしまうのが原則です(3か月以内に必要な手続をとれば、熟慮期間を延長してもらうことは可能です)。もっとも本件のように、被相続人に借金があると全く気付かなかったため相続放棄をしなかった場合にも、多額の借金を相続させることは、相続人にとって酷と言えます。

そこで裁判所は上記原則の例外として、期間内に相続放棄をしなかったのが、①被相続人に相続財産(マイナスの財産である借金を含みます)が全く存在しないと信じたためであり、②相続財産の有無の調査を期待することが著しく困難な事情があって、③相続財産がないと信じたことに相当な理由があると認められる場合、相続財産(借金)を認識したときから熟慮期間を起算すると判断しています(最高裁昭和59年4月27日判決)。そのため、被相続人が亡くなって相当期間が経過した後に借金が判明した場合※でも、相続放棄ができる可能性があるのです。

※被相続人にプラスの相続財産(預金等)があり、それらを既に相続している場合、後になって多額の借金が判明したとしても、既に相続を認めてしまった以上は放棄することができません。ご注意ください。

同様の相続問題でお悩みの方は、諦めずに、まずは弁護士へご相談ください。

   
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