ご相談者様の状況・ご相談内容
- 相談者:夫 Aさん(20代男性)
状況
妻から離婚を求められている。現在、相談者は仕事の単身赴任で、妻や子と別居中。
ある時、子の発言から妻の不貞が発覚。相談者は探偵に依頼し、妻の不貞の証拠を確保。
数年前から夫婦関係が悪化しており、妻との性交渉もしばらくなかった。
相談内容
Q1 離婚には応じるつもりですが、離婚後も子どもにしっかり会いたいです。
ただ、妻は私が養育費をしっかり払わないなら子どもには会わせないつもりのようです。
私としては、妻の不貞もありましたし、養育費はあまり払いたくないのですが。
離婚後の子どもとの面会交流、養育費の支払い、不貞の慰謝料請求は、法律的にはそれぞれ別の問題です。感情的に納得しがたいところもあるかと思いますが、養育費はお子さんのためのお金なので、お互いの収入に基づき、適正な金額を支払っていくべきでしょう。
Q2 今後妻との離婚の話が片付いたら、改めて、妻と不貞相手に慰謝料の請求をしたいです。
何か注意すべきことはありますか。
数年前から夫婦関係があまりよくなかったとの事情を前提とすると、相手方からは、 「不貞行為当時、相談者と妻の夫婦関係は既に破綻していたので、不貞の責任は生じない」との反論がされる可能性があります。
こちらとしては、不貞の証拠だけでなく、「幼い子どももおり、今後も夫婦として十分やっていくつもりがあった」という事情を主張できるような証拠も準備しておいた方がよいでしょう。
また、離婚の協議が長引く可能性もあるので、慰謝料請求の時効(不貞の事実および相手方を知った時から3年)に注意しておく必要があります。
担当弁護士の所感
今回ご相談のケースでは、「子どもとの面会交流」「養育費の支払い」「不貞の慰謝料請求」がそれぞれ問題となる状況でした。
A1にも書いたように、面会交流、養育費、不貞慰謝料は、それぞれ法律的に別の問題として検討する必要があります。しかし、離婚で揉めている当事者からは、よく「養育費を払わないと子どもには会わせない」「相手の不貞が原因で離婚するのだから、養育費の支払いには応じたくない」との主張がなされます。
当事者の感情としては理解できる部分もあるのですが、裁判所は子どもの利益を第一に考えますから、このような主張が認められる可能性は低いことに留意した方がよいでしょう。