1. はじめに
初めまして。渡邊佳帆と申します。昨年12月に弁護士登録をし、今年1月から岡崎事務所にて勤務しております。
相談に来てくださる皆様を始め、様々な人が温かく迎え入れてくださっております。恩返しができるよう精進します。
名古屋総合法律事務所岡崎事務所は、「名古屋総合リーガルグループ」内の1つの法律事務所です。
リーガルグループ内には、他にも、名古屋丸の内事務所、金山駅前事務所、一宮駅前事務所があります。岡崎事務所には、他の事務所と比べて、交通事故の事件が多いという特徴があるようです。
2 交通事故の相談をするにあたってお願いしたいこと
当所において交通事故の相談を受けるにあたり、私たちが事前に事案を把握するべく「相談票」を記入していただいております。
相談にいらっしゃる皆様の時間を有意義に使うために欠かせないものです。
こういうものです。
相談票の中に、事故時の状況について伺う欄が大きく設けられております。これを、できるだけ詳しく埋めてくださるととても助かります。
たとえば、「岡崎市羽根町の県道483号線で右折車と交通事故にあった」と書いたとします。
これですと県道483号線のどこか、また、どのような状況で右折車と事故にあったのかがわかりません。
そこで、「県道483号線をJR岡崎駅方面に向けて走っていたら、岡崎市羽根町字北ノ郷44-1のあたりで、脇道から県道483号線に出るため右折しようとしていた車とぶつかった」と書いたとします。
私たちは、この文章を読むと、まずGoogleマップで「岡崎市羽根町字北ノ郷44-1」を検索します。そして出てきた地図、相談票の記載と照らし合わせると……
ああこういうことか、とわかるわけです(時々、相談票にこういった地図や写真を載せ、上に矢印を書いてくださる方もいます。)。
なにとぞ、事故状況を詳しく書いてくださるようお願いします。
3 なぜ事故状況が大事なのか?
とはいえ、事故状況を詳しく書くのは当時のつらい記憶が喚起されるし、わずらわしいことかと思います。なぜ事故状況を詳しく書かなくてはならないのでしょうか。
⑴ 不法行為に基づく損害賠償請求
交通事故により相手方に損害賠償を請求しお金を払ってもらうというのは、法的には「不法行為に基づく損害賠償請求をする」ということになります。
民法709条は、「故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。」と定めています。
この条文があるから、交通事故の被害者は加害者に対して損害賠償を求めることができるのです。
民法709条に基づいて損害賠償を請求するための要件(法的な効果が発生するための条件を「要件」といいます)は、一般的に、①故意又は過失、②権利侵害、③損害の発生、④①と③の因果関係と言われています。①と②の因果関係と②と③の因果関係が必要であるとの見解もあります。
⑵ 過失相殺
民法722条2項は、「被害者に過失があったときは、裁判所は、これを考慮して、損害賠償の額を定めることができる。」と定めています。
これは過失相殺と呼ばれるものです。一般的な不法行為事件においては、不法行為に基づく損害賠償請求をされた加害者が、被害者にも過失があったと主張し、損害賠償額の減額を図ります。
しかし、交通事故事件においては、交通事故の態様によって、過失相殺がどれくらい認められるのかの基準があるのです。
これを過失割合といいます。
たとえば、「県道483号線を走っていたら、岡崎市羽根町字北ノ郷44-1のあたりで、脇道から県道483号線に出るため右折しようとしていた車とぶつかった」事案の過失割合は、原則、右折した車:直進していた車=80:20であるとの基準があります。
ただ、どちらかに速度違反があった場合ですとか、右折禁止箇所であった場合ですとかは、また過失割合が変わってきます。
過失割合がどれくらいか見当をつけるために、事故状況の詳しい記載が必要になるのです。
4 交通事故の相談について
交通事故にあって弁護士への相談を検討なさる際は、充実した相談実施のため、事故状況を詳しくお知らせいただけると幸いです。