岡崎事務所ブログ

愛知県の交通事故(令和2年)─優先道路でも油断禁物─

愛知県内の交通事故発生状況

「令和2年7月30日時点で今年に入って発生した事故は以下の通りです。(愛知県警察本部交通部交通総務課交通事故日報参照)

人身事故 13,906件
負傷者数 16,580人
重傷者数 412人
死者数 84人

人身事故、負傷者数、重傷者数は共に前年同月同日時点に比べ減少傾向にありますが、死亡者数は10人増加しており全国で最多となっています。

愛知県内各地域における交通死亡事故

交通事故日報記載の地域別死者数(7月30日時点)は以下の通りです。

名古屋市 27人
西三河 21人
西尾張 18人
東尾張 9人
東三河 8人
高速道路 1人

名古屋総合法律事務所岡崎事務所のある西三河地方(岡崎市、豊田市、安城市、西尾市、幸田町、刈谷市、高浜市、碧南市、みよし市、知立市)の死亡事故についてまとめました。(資料)

事故に遭遇した時 責任の所在は

このように様々なケースで事故は発生しています。気をつけるに越したことはありませんが、万が一事故に遭遇した場合、どちらに責任があるのかが大きな問題となってきます。

例えば、自分が優先だった、相手が一時停止しなかった等、自分は全く悪くないと思っていても、過失割合が認められてしまい納得できないケースは多々あります。

一つ、岡崎市の事故多発現場を例に挙げて説明します。

岡崎市明大寺町奈良井交差点(岡崎警察署・岡崎簡易裁判所付近)

2年間で重傷事故2件(2019年6月20日 16時頃/2020年2月27日 7時頃)

1

写真①

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写真②

3

写真③

4

弁護士の視点から

本現場は信号機のない交差点で、①方面の道路はゆるやかな坂道となっている一方、②③方面の交差道路には一時停止の規制があります。

 

①道路を通り慣れた方であれば、②③道路が一時停止であることを知っているため、特に左右に注意することなく、現場を進行してしまうかもしれません。下り坂であればスピードも出てしまうでしょう。

しかし、仮に交差道路に一時停止の標識があり、進行道路の優先性が明らかだったとしても、見とおしがきかない交差点に入ろうとする車両には徐行義務が課せられています(道路交通法42条1号)。
 そうすると、仮に一時停止側の車両が十分に停止せず飛び出してきたために衝突に至ったような事故でも、優先道路側の車両も減速せずに交差点へ進入していた場合、相当の過失が認められる可能性があります。

例えば本現場において①道路と②(③)道路を進行する車両が、双方減速せずに衝突した場合、基本過失割合は、20:80と考えられています。

ところで本現場には横断歩道がありますが、信号機のない交差点で横断歩道を進行する歩行者は、絶対的な保護を受けます

また横断歩道を進行するのが自転車の場合でも、自動車に比べ要保護性が高いことに変わりないため、仮に自動車が優先道路側であっても、自転車より自動車の方が、大きな過失割合を認定される可能性が高いです

本現場での出合い頭の衝突事故を想定すると、一時停止側の自転車が飛び出してきた場合でも、優先道路側の自動車に60%の基本過失割合が認められると考えられます。

本現場に限られないことですが、見通しの悪い市街地を、「こちらが優先道路側だから」とスピードを出して進行することは、非常にリスクが高い行為なので、くれぐれもご注意ください

   
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