岡崎事務所ブログ

ワクチン接種による健康被害と救済制度

弁護士 大野貴央

ワクチンで健康被害があったら…?

薬品

NHKの新型コロナウイルス特設サイトによれば、令和3年9月8日時点での日本国内の新型コロナワクチン接種人数は、1回目で約7,710万人(全人口の60.9%)、2回目で約6,200万人(全人口の49.0%)に達したとのことであり、全人口の約半分の方が2回目接種まで終えられているようです。

一方で、新型コロナワクチン接種後には副反応が生じることも報告されており、健康被害を懸念する声も出ているようです。

厚生労働省によれば、
「新型コロナワクチンの接種が原因で、何らかの病気による死亡者が増えるという知見は得られていない」
とのことであり(詳しくはコチラ)、インターネット上で流布するワクチンにまつわる様々な情報を鵜吞みにしない姿勢が重要でしょう。

もっとも、
「ワクチン接種による健康被害を全くゼロにすることは難しい」
とも考えられています。

因果関係が認められれば、救済される

そのため、「予防接種法」という法律で、
健康被害が発生した場合の救済制度が設けられています。

お金

予防接種法第 <15条第1項>

市町村長は、

① 当該市町村の区域内に居住する間に定期の予防接種等(※臨時の予防接種を含む。同法第2条第6項参照)を受けた者が、

② 疾病にかかり、障害の状態となり、又は死亡した場合において、

③ 当該疾病、障害又は死亡が当該予防接種等を受けたことによるものであると厚生労働大臣が認定したときは、

④ 次条及び第17条に定めるところにより、給付を行う。

制度の概要については厚生労働省のサイトを参照いただければと思いますが、同制度による救済を受けるには、
ワクチン接種と健康被害との間の因果関係が認められる必要があります。

では、ワクチン接種と健康被害との間の因果関係はどのように判断されるのでしょうか。

ワクチン接種と健康被害との間の因果関係に関する、過去の裁判例を紹介したいと思います。

ワクチンで健康被害があったら…?

裁判所

予防接種ワクチン禍事件

昭和30年~40年代にかけて、当時の予防接種法に基づいて実施された予防接種ワクチンの事件になります。

児童らとその両親合計160名が、ワクチン副作用により、疾病にかかり、障害の状態となり、または死亡するに至ったものです。

国を被告として、昭和47年3月から6次にわたって損害賠償請求を提起した事件です。

第一審(東京地判昭和59年5月18日)

この裁判例では、ワクチン接種と副作用の発生について、以下の四要件すべてを満たす場合に、因果関係が認められると判断しました。

  1. ワクチン接種と、予防接種事故とが時間的、空間的に密接していること
  2. 他に原因となるべきものが考えられないこと
  3. 副反応の程度が他の原因不明のものによるよりも質量的に強いこと
  4. 事故発生のメカニズムが実験・病理・臨床等の観点から見て、科学的、学問的に実証性があること
第二審(東京高判平成4年12月18日)

この裁判例では、上記第一審の示した四要件について、充分合理性があるものと判断し、これを追認しました。

最高裁(平成10年6月12日判決)

最高裁ではワクチン接種と副作用発生との間の因果関係についての判断はなされませんでした。


医者

上記高裁判決から30年近くが経過した現在においては、医療技術も格段に進歩しています。

因果関係の判断は、上記裁判例と異なったものになる可能性が高いと思われます。

しかしながら、今後、ワクチン接種に伴う健康被害が表面化した場合、裁判所の先例として上記高裁判決が注目される日が来るのかもしれません。

   
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