弁護士法人名古屋総合法律事務所 岡崎事務所所属の弁護士 大野です。
前回に引き続き、名古屋家庭裁判所岡崎支部(以下本稿では「岡崎支部」と呼びます)で実施される離婚調停のあれこれについて、弁護士の目線からお伝えしたいと思います。
(全5回を予定しています。第2回はこちら)
4. 次回の調停へ向けて
(1)どれくらいの期間が必要?
離婚調停では夫婦関係の今後についての多くの事柄を決めていかなければいけませんし、当事者同士が感情的になり、話が思うように進まないこともしばしばです(だからこそ調停の場が利用されているとも言えますが・・・)。
したがって、離婚調停が初回期日で成立する例は珍しく、複数回の期日を重ねて、少しずつ離婚について双方の合意を詰めていくことが一般的です。
離婚調停では、一期日あたり約2時間の枠が設定されており、(例えば午前であれば10時~12時、午後であれば13時半~15時半)その時間を超えそうになれば、続きは次回の期日で話し合われることになります。
調停成立まで何回くらいの期日が必要になるかについては、夫婦の合意状況や財産状況の複雑さ、当事者の感情的対立の程度などの事情に関わるため、ケースバイケースと言わざるを得ません。
また調停はあくまで当事者の合意により成立するものですから、当事者が深く対立し、話合いが長引きそうな場合は、調停不成立という形で打切り終了となることもあります。
残念なことですが、半年以上調停で話し合ったものの、折り合いがつかず、結局何も決まらずに終わってしまう可能性があります。調停の合意が難しそうであれば、早めに切り上げて、離婚裁判へ移行することも検討すべきでしょう→離婚裁判について詳しくはこちら
次の調停期日まで、どの程度の期間が空くことになるかは、当事者の日程の都合と、裁判所の混雑状況によります。
2020年1月現在、岡崎支部のスケジュールは相当混み合っており、私が担当するある離婚調停では、2か月以上先の次回期日を指定されてしまいました。
こればかりはその時々の状況によるので、確かな目安はないのですが、あまり混み合っていない時期でも、少なくとも1か月以上先になることが多い印象です。
(2)期日間で準備するもの
婚姻費用、養育費、財産分与等の協議を行うにあたっては、双方の収入資料、預金や生命保険の資料、(持ち家があれば)登記簿やローンの資料といった夫婦共有財産に関する資料が重要になります。調停の際は、今後の協議に必要となる資料を次回までに準備してくるよう、調停委員から指示を受けることがあります。
次回までに必要と言われた資料が手元にない場合は、勤務先や加入保険会社等に対し、資料の発行を依頼しなければいけません。
ですから、調停の場で話し合われたことや、今後自分が準備しなければいけないことについては、適宜メモを取っていくことが重要です。
代理人弁護士が同行していれば、弁護士もメモを取ってくれると思います。
しかし今後の人生を決める話合いに参加するわけですから、弁護士の有無に関わらず、調停には筆記用具・メモ帳を持参することをお勧めします。(弁護士との打合わせでも、ご自身できちんとメモを取って調停の状況を把握されていた方が、相談しやすいと思います。)
次回は、調停の終了やその他の留意事項についてお伝えしたいと思います。
それではまた。