相談事例

任意整理後に返済が滞り、ギャンブルによる借金と友人への優先返済がある中で自己破産を検討したケース

ご相談者様の状況

男性アバター

  • 相談者:Aさん(30代男性)
  • 職業:期間従業員
  • 主な検討手続:自己破産

相談内容

Aさんは、期間従業員として勤務し、会社の寮で生活していました。契約期間を満了するとまとまった満了金が支給される予定でしたが、相談時点では雇用契約が更新されるかどうかが確定していませんでした。

Aさんには、消費者金融や銀行、クレジットカード会社などから多額の借り入れがあり、主な原因は、パチンコ、スロット、競艇などのギャンブルでした。また、過去に任意整理をしたことがありましたが、その後返済が滞り、2年以上にわたって延滞していました。

Aさんは以前、借金の返済に困った際に友人からお金を借り、その友人への返済を他の債権者への返済より優先していました。友人への返済は相談前に完了していましたが、他の債権者への返済は滞ったままでした。

Aさんには、不動産、自動車、保険の解約返戻金などの目立った資産はなく、税金の滞納もありませんでした。一方で、雇用が継続するか不明で、安定した返済を続けられる見通しが立たなかったため、任意整理を再度行うべきか、自己破産を選ぶべきかを含めて相談したいとして、弊所へ来所されました。

※本記事に掲載している「相談時にお伝えした内容」は、ご相談時に確認できた事情や資料を前提とするものであり、当事務所が本記事をご覧の方の個別の事案について法的な見解を示すものではありません。事情によって判断や結論が異なる場合がありますので、具体的な事案については弁護士へご相談ください。

相談時にお伝えした内容

1 任意整理で返済を続けられるか、収入の安定性を含めて検討すること

任意整理は、債権者と交渉し、将来利息のカットや分割返済を目指す手続です。ただし、合意後は毎月の返済を継続する必要があります。

Aさんの場合、既に長期間返済が滞っていました。また、期間従業員で、雇用契約が更新されるかが未確定でした。そのため、月々の返済額だけでなく、今後も安定した収入を得て返済を続けられるかを確認しなければ、再び返済が困難になる可能性があることを説明しました。

2 自己破産も選択肢となるが、ギャンブルによる借金は慎重な検討が必要であること

返済能力や今後の収入見込みを踏まえると、自己破産を検討する余地があることを説明しました。

もっとも、ギャンブルなどの射幸行為によって著しく財産を減少させたり、過大な債務を負担したりしたことは、法律上、免責不許可事由に当たる可能性があります。免責不許可事由があるからといって、直ちに免責が認められないと決まるわけではありませんが、借入れやギャンブルの経緯、現在の生活状況、再発防止への取組みなどを具体的に説明する必要があります。

Aさんには、ギャンブルをやめ、収支を管理するとともに、必要に応じて依存症の専門機関への相談や治療を検討することが重要であると伝えました。

3 友人への返済が「偏頗弁済」として問題になる可能性があること

支払不能となった後などに、特定の債権者だけを優先して返済すると、債権者間の公平を害する「偏頗弁済」として問題になることがあります。

Aさんは、他の債権者への返済を滞納する一方、友人に対してまとまった金額を返済していました。そのため、返済時期や返済不能となった時期との関係によっては、破産管財人から問題を指摘され、友人が返済を求められる可能性があることを説明しました。

友人や親族への返済であっても、その事実を隠さず、借入時期、返済期間、返済額、返済方法が分かる資料を準備する必要があることをご案内しました。

4 管財事件となる可能性と、申立費用の準備が必要であること

自己破産には、裁判所の判断により、破産管財人が選任される事件と、管財人を選任せずに進む事件があります。

Aさんの場合、借金の主な原因がギャンブルであることや、友人への優先返済があることから、管財人が選任され、借入れや返済の経緯、財産状況などが調査される可能性があることを説明しました。

管財事件となる場合には、弁護士費用に加えて裁判所へ納める予納金が必要になるため、満了金や毎月の収入から、申立てに必要な費用を計画的に準備する必要があることもお伝えしました。

5 ギャンブルを続けたまま手続を進めることには問題があること

Aさんは、当初の相談後にもギャンブルをしており、再相談時には依存症の治療を考えていると話していました。

自己破産を申し立てる場合、手続開始後にギャンブルをやめればよいというものではありません。相談後もギャンブルを続けて新たな借入れや浪費を重ねると、裁判所の判断にも影響し得ます。

そこで、まずギャンブルをやめ、家計表を作成して収支を管理し、再発を防ぐための具体的な行動を始めるよう説明しました。

ご相談後の対応

初回相談時には、雇用契約が更新されるかが不明であったため、雇用継続の見通しが分かった段階で、任意整理と自己破産のどちらが適切かを改めて検討することになりました。

その後、Aさんの雇用契約は半年間延長されましたが、債権回収会社から実家宛てに郵便物が届いたため、Aさんは再度来所し、自己破産を検討したいとして受任通知の送付を希望されました。

再相談では、ギャンブルをやめること、依存症への対応、友人への返済経緯を正確に整理すること、申立費用を積み立てることを説明し、自己破産の申立てに向けて必要な資料と準備事項を確認しました。

担当弁護士の所感

過去に任意整理をしていても、その後に返済が困難となった場合には、現在の収入、債務額、生活状況を改めて確認し、自己破産を含む別の方法を検討することができます。

ただし、任意整理は毎月の返済を継続できることが前提となるため、雇用や収入が不安定な場合には、合意後に再び返済が滞る可能性も考えなければなりません。

また、ギャンブルによる借金がある場合や、一部の友人・親族だけに返済している場合には、自己破産の手続が通常より複雑になることがあります。相談前後の返済やギャンブルの事実を隠すのではなく、弁護士へ正確に伝え、資料をそろえることが大切です。

債権者から督促が届いてから慌てて対応するのではなく、返済が難しいと感じた時点で早めに相談することで、収入や生活状況に合った手続を検討し、申立てに必要な準備を計画的に進めることができます。

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