岡崎事務所ブログ

養育費の強制執行について

養育費を決めたのに、振り込んでもらえない!

「養育費の取り決めはしたのに一度も支払われない」
「途中から支払が滞った上、音信不通で請求もできない」
こんな悩みを抱えた方は、全国に大勢いらっしゃいます。

養育費をもらっているひとり親世帯は3割未満

平成28年度全国ひとり親世帯等調査結果報告では、養育費の取り決めをしている家庭は、母子世帯で42.7%、父子世帯で20.8%となっています。

また、養育費を「受けたことがない」と回答しているのは、母子世帯では56.0%、父子世帯では86.0%です。

「過去に受けたことがある」家庭は、母子世帯で15.5%、父子世帯では4.9%であり、「現在も受けている」家庭は母子世帯でも3割に満たないのです。

養育費を払ってもらえない場合の対処法

養育費の未払いや不払いで悩んだ時に、取ることのできる手段と、その方法を以下のケースで考えてみます。

債権:養育費及び離婚時の解決金
債務名義:調停調書
差し押さえる債権:給与債権

元旦那が養育費と解決金を払ってくれません!勤務先の会社も退職していました。

AさんとBさんは、夫婦関係調整(離婚)調停により離婚しました。

養育費については、「養育費と離婚時の解決金の分割支払いに関する内容を明記した調停調書」がありますが、半年以上前からBさんからAさんに養育費が支払われなくなりました。
Aさんは『履行勧告』を実施しましたが、効果はありませんでした。

離婚調停の際に聞いていたBさんの勤務先も、既に退職済みで次の勤務先も不明だった為、給与債権を差し押さえる執行手続きを断念していました。

Bさんの住所や勤務先を開示してもらう

令和2年4月1日の改正民事執行法の施行に伴い、「第三者からの情報取得手続き」が新設されました。

相手方の住所地や勤務先などの情報を開示してもらい、その情報をもとに、債権差押(強制執行)の手続きをとることができます。

「第三者からの情報取得手続き」を利用する為、先行して「財産開示手続き」の準備を開始しました。

【手段①】まず、Bさんに財産開示を要求する

第三者からの情報取得手続きを利用する為には、この「財産開示の手続き」をしている必要があります。

財産開示手続とは、債権者が債務者の財産に関する情報を取得するための手続であり、債務者(開示義務者)が財産開示期日に裁判所に出頭し、債務者の財産状況を陳述する手続となります。

㋐ 申立て準備
必要書類を揃え、収入印紙・予納郵券と共に地方裁判所(債務者の現在の住所地の地方裁判所)へ提出し、財産開示手続を申し立てます。

※現住所や氏名が債務名義(調停調書・和解調書・執行証書など)上のものと異なる場合、住民票や戸籍謄本等を提出してつながりを明らかにする必要があります。

※請求債権目録を作成する際の注意点

財産開示手続とは、債権者が債務者の財産に関する情報を取得するための手続であり、債務者(開示義務者)が財産開示期日に裁判所に出頭し、債務者の財産状況を陳述する手続となります。


Aさんのケースの様に、養育費の他に解決金についても取り決めがある場合、「養育費」と「解決金」、請求債権目録は2種類用意しなければならない点に注意が必要です。

※執行文の付与について
養育費については執行文付与は不要ですが、解決金は一般債権のため、執行文の付与が必要です。

㋑ 申立後の手続き
・実施決定がなされると双方に実施決定の通知が届き、期日が知らされます。
・債務者:財産開示期日の前に財産目録の提出をし、現金・預金・車両・不動産などの財産状況を開示する必要があります。
・債権者:財産開示期日には、基本的に債権者も出廷が必要です。また、予め質問書を提出した上で、相手方に対して質問を行うこともできます。(質問が的確でないと許可されないケースがあるので注意が必要)

※質問のために
事前に債務者から提出された財産目録を謄写申請(弁護士会にて申請。有料。)し、確認した上で、強制執行に必要な情報を得る為の質問事項を検討すると良いでしょう。→謄写申請用紙(愛知県弁護士協同組合のページへ遷移します)
「勤務先」や「預金口座」「保有車両」等を質問することが考えられます。

㋒ 財産開示期日後の対応
・債務者の財産が明らかになった場合
債務者が提出した財産目録の情報や、財産開示期日の質問等により、強制執行の手続きが進められるようであれば、債権差押命令の申立をすることができます。
・債務者が財産開示しない、又は保有財産が不明等の場合
手段②でご説明する「第三者からの情報取得手続き」の申立をすることとなります。

手段②-1:Bさんがダメなら、第三者から情報を出してもらう

第三者からの情報取得手続は、債権者が、債務者の有する給与、預貯金又は振替社債等につき、これらに係る情報を保有する第三者から、その保有する情報の提供を受けるための手続です。

㋐ 申立て準備
必要書類、収入印紙、予納金等を準備し地方裁判所(債務者の普通裁判籍の所在地を管轄する地方裁判所)へ申し立てます。

給与債権に関する手続きの場合は、財産開示期日から3年以内に申し立てる必要があり、それを証明する資料の提出も必要です。(例:財産開示手続きの実施決定写し及び財産開示期日調書の写し)

㋑ 申立後の手続き-情報提供命令
必要な書類が全て提出されて各手続の要件が満たされ、所定の予納金の納付が完了したことが裁判所に確認されると裁判所から第三者に対して情報提供命令が発令されます。

第三者に対しては、原則として、命令到着後2週間以内に回答するように依頼されます。

名古屋地方裁判所の場合、原則として、第三者からの最後の情報提供書返送後1か月程度経過すると、裁判所から債務者へ情報提供がされた旨が通知されます。

この手続のみで直接債権を回収することはできませんので、提供された情報に応じて、速やかに強制執行手続を行う必要があります。

手段②-2:差し押さえの命令を申し立てる

㋐ 申立の準備
他の申立手続き同様、書類を揃え、地方裁判所(債務者の住所地を管轄する地方裁判所)に申立手続きをします。

※執行費用について
債権差押命令申立の際には戸籍謄本や代表者事項証明書(債務者の勤務先)などの取得費用(郵送請求の場合は郵券代も含む)と収入印紙・予納郵券代を執行費用として計上し、相手に請求することが可能です。

戸籍謄本等の取得費用については領収書等の疎明資料を添付しましょう。
※請求債権について
請求債権の内、養育費については、将来にわたって差し押さえることができるので、請求債権目録には、その旨も記載しましょう。

㋑申立後の手続き
債務者に債権差押命令が送達された日から1週間※が経過すると、差押債権を取り立てることができます。※請求債権に養育費が含まれているため。

取り立て可能までの期間については差押債権及び、請求債権によって異なるため、裁判所から送付される送達通知書をよく確認しましょう。

第三債務者に連絡し、取り立て方法についての連絡をし、支払いを受けます。

最後に

以上が、養育費及び離婚時の解決金について取り決めた調停調書がある場合、給与債権を差し押さえるために取ることのできる手段と、その方法です。

手続や必要書類も多く、専門的な知識も必要になってきますので、弁護士へ相談することをおすすめ致します。

子供のイメージ

名古屋総合法律事務所岡崎事務所は、養育費の未払いや不払いで悩まれている方の味方です。

ご相談者様、依頼者様のお力になれるよう誠心誠意対応致しますので、財産開示や強制執行を検討されている方は是非一度、名古屋総合法律事務所岡崎事務所にご相談ください。

   
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