離婚事件について、わが国では、調停前置主義が採用されているため、原則として訴訟に先立ち、家庭裁判所に調停の申立てを行い、調停が不成立とならなければ、離婚訴訟を提起することはできません。
また、離婚訴訟で、離婚が認められるためには、法定の離婚原因が必要となります。
法定の離婚原因は次の5つとなります(民法770条1項各号)。
不貞行為とは、自由な意思に基づいて配偶者以外の者と性交を行うことをいいます。
性交の存在は、当事者が認めていない場合は、メールやアプリ上でのやりとり、ホテルに入る写真等により証明します。
性交に至らない場合でも、度を越えた交際は、5号に該当するとして、有責行為となる場合があります。
悪意の遺棄とは、正当な理由なく民法752条の同居・協力・扶助義務を履行しないことをいいます。
生死不明とは、行方不明とは異なり、生存の証明も死亡の証明もできない場合をいいます。
強度の精神病とは、統合失調症や躁うつ病などの高度の精神病を指します。
しかし、配偶者が精神病になったという理由だけでは離婚は認められず、医師の診断や介護状況、離婚後の配偶者の治療や生活が可能か等の事情をも鑑みて判断されます。
5号は、離婚原因の一般条項であり、婚姻関係が破綻し回復の見込みがないことを意味するとされています。
破綻の有無は、婚姻期間・別居期間の長さ、双方の意思、不和となった原因、信頼関係の破壊の程度、未成年者の有無と年齢等により総合的に判断されます。
離婚訴訟では、離婚の判決とともに、未成年者がいる場合は、親権者の指定を行います。
また、子の監護に関する処分、財産分与等についての附帯請求を求めることができます。この場合、裁判所は、離婚の判決とともに、請求された事項について附帯処分を行います。
離婚訴訟では、離婚の請求とともに、離婚に基づく慰謝料請求を行うことができます。
離婚請求を認める旨の判決がなされたときは,判決が送達された日の翌日から14日間の控訴期間(控訴審の場合は上告期間)の経過によって判決(控訴審の場合は原審又は控訴審若しくは双方の判決)が確定し,その日に離婚が成立します。
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