相続人が複数いる場合、被相続人の財産はまず相続人全員の共有になります。
共有状態になっている遺産を話し合って、各相続人に具体的に分けていくことを遺産分割といいます。
遺産分割に期限はありません。
しかし、そのまま共有状態にしておくと、さまざまなデメリットが生じます。
たとえば、
・共有物の処分は共有者全員の合意で決定する
・共有物の管理は共有者の持分の過半数で決定する
・収益・費用の負担の清算など、その取扱いに煩雑な手続を要する
・それに起因して感情的なあつれきが生じ、長期化することが多々ある
・持分だけでは、担保に供することが困難
遺産分割には4通りあります。
ここではそれを詳しく紹介していきます。
※ 以下の要件も満たす必要があります。
故人の遺言があり、その中に遺産の分割方法について具体的な記載がある場合には、故人の遺志を尊重し、その遺言に基づいた分割が行われます。
これを指定分割といいます。
遺言がない場合は、相続人全員で話し合って分割する割合を決めるのが原則です。
全員で話し合い、全員の意見を一致させることができれば、遺産分割協議が成立し、遺産を分けることができます。
遺産分割協議にて相続人の意見がまとまらなかったり、協議しようとしない相続人がいる場合には、家庭裁判所に遺産分割の調停を申し立てることができます。裁判所を通じて話し合うこの方法は、調停分割と呼ばれます。
③の調停がまとまらない場合には、遺産分割の審判という手続きをすることになります。これは、裁判官(家事審判官)が遺産の分け方を決める方法です。この手続きは、審判分割と呼ばれます。
遺産にまつわる紛争が起こった場合、解決のためには
①遺産分割調停・審判手続きを使う
②訴訟手続きを使う
かどちらかの方法をとることになります。
遺産分割を考えるにあたって、前提となる事実に争いがある場合(例えば親子関係があるかどうか、遺言の有効性に疑いがあるなど)であって、さらに遺産分割調停などでは合意できないような場合には、訴訟手続きをしたほうが有効であるといえるでしょう。
依頼人:Aさん
Aさんの父が亡くなりました。
父はたくさんの賃貸不動産を持っており、亡くなった後、その不動産を誰が管理し、誰が不動産を相続するのか、など問題が山積していました。
Aさんは自身だけでは解決できないと思い、当事務所にご相談にいらっしゃいました。
受任後、ほかの相続人と協議をしましたが、相続人が多かったこともあり、なかなか協議は進みませんでした。
そのため、家庭裁判所に遺産分割調停を申立て、裁判所に集まって協議をすることにしました。
調停でも、それぞれ欲しい不動産があることを相続人たちが主張したため、収拾がつかなくなることもありましたが、最終的には、各々が欲しい不動産を順番に指定していくという方法で合意に至りました。
約5年
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