交通事故における損害は、大きく積極損害と消極損害の2つに分けることができます。
積極損害とは、交通事故が発生したことにより被害者が支払わなければならなくなった損害をいいます。
消極損害とは、交通事故がなければ将来被害者が得られたと考えられる利益を事故により失ったことによる損害をいいます。
本稿では、2つのうち、消極損害の内容についてご説明します。
休業損害とは、事故による怪我の治療や療養のため、休業しまたは不十分な就業を余儀なくされたことにより、傷害の治癒または症状固定時期までの間に生じた収入減による損害をいいます。
休業損害額は、実際の損害額が明らかな場合は、その金額となりますが、実際の損害額が明らかでない場合には、基礎収入の日額を確定し、これに休業日数を乗じることにより算出します。
なお、自賠責基準では、原則1日あたり5,700円となっています。
以下、就労形態別に、どのように基礎収入を算出していくのか、簡単にご説明します。
給与所得者 | 給与所得者とは、雇用契約を締結し、労務を提供し、その対価として所得を得ている方をいいます。 |
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事業所得者 | 事業所得者とは、個人事業主や自営業者などをいいます。 |
家事従事者 | 家事従事者とは、現に主として家事労働に従事する者をいい、性別・年齢を問いません。 |
失業者 | 失業者には、原則として休業損害は生じません。 |
学生・生徒・幼児等 | 学生等には、原則として、休業損害は認められません。 |
後遺障害逸失利益とは、交通事故による後遺障害がなければ将来的に得られたであろう収入等の利益をいいます。
次の計算式により算出されます。
①基礎収入×②労働能力喪失率×③労働能力喪失期間に対応する④中間利息控除係数
①基礎収入
基礎収入は、基本的には上述の休業損害における基礎収入と同様のものとなります。
②労働能力喪失率
労働能力の低下の程度を数値化したものです。
労働能力喪失率は、労働省労働基準局長通牒(昭和32年7月2日基発551号)別表労働能力喪失率を参考に、被害者の職業、年齢、性別、後遺症の部位・程度、事故前後の稼働状況等を考慮して、認定されます。
③労働能力喪失期間
労働能力喪失期間の始期は、症状固定日です。
終期については、原則満67歳とされていますが、例外的に症状固定時から67歳までの年数が平均余命の2分の1よりも短くなる高齢者の労働能力喪失期間は、平均余命の2分の1とされます。
④中間利息控除
逸失利益の請求は、将来発生する収入減少による損害を、一時金で受け取ります。
受け取ったお金を運用した場合、利息がついて増えることとなります。そのため、請求できる額は、将来もらえるはずの金額から、それまでの利息分を控除した金額となります。実務上は、ライプニッツ係数を用いて、中間利息控除を行います。
死亡逸失利益とは、交通事故により死亡しなければ将来的に得られていたであろう収入等の利益をいいます。次の計算式により算出されます。
①基礎収入×(1-②生活費控除率)×③就労可能年数に対応する④中間利息控除係数
①基礎収入
基礎収入は、基本的には上述の休業損害における基礎収入と同様のものとなります。
②生活費控除率
死亡逸失利益の算定では、支出をすることがなくなった被害者の生活費を控除する必要があり、死亡後の被害者の生活費を明らかにすることは難しいため、被害者の家族における位置づけや扶養者の数により確定する生活費控除率を用います。
③就労可能年数
就労可能年数の始期は、未就労者の場合は、原則として18歳となります。
終期は、原則として67歳ですが、年長者の場合は、67歳までの平均余命の2分の1のいずれか長い方にとなります。
また、年金の逸失利益は、平均余命に基づき計算します。
④中間利息控除係数
遺障害逸失利益の場合と同様の理由から、ライプニッツ係数を用いて、中間利息控除の計算を行います。
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