交通事故とADR

交通事故とADR

1.はじめに

交通事故に関する紛争解決手続は、交通事故と紛争解決手続で紹介したとおり、様々なものがあります。

本稿では、その中では、ADR手続の詳細について、ご説明いたします。

2.日弁連交通事故相談センター

日弁連交通事故相談センターとは、日本弁護士連合会により昭和42年に設立されたADR機関です。

令和2年7月現在、全国156か所に相談所があり、利便性の高いADR機関となっています。

日弁連交通事故相談センターでは、次項でご説明するとおり、①相談、②示談あっせん手続き、③審査手続きの3段階の手続きがあります。

手続きの流れ

①相談

相談には、電話相談と面接相談の2種類があります。

電話相談

電話相談とは、日本国内の自動車事故に関する相談を弁護士が受け付けるというものですが、相談の対象は、自賠責保険または自賠責共済に加入することを義務付けられている車両による国内での「自動車・二輪車」事故の民事関係の問題に限られます。
したがって、交通事故に関連する刑事事件や行政処分に関する相談をすることはできません。

電話相談は、日弁連交通事故相談センターのホームページで紹介されている電話番号に電話をかけることで相談できるため、気軽に利用できる反面、資料等を相談担当の弁護士に見せることができないため、相談の回答が限定的となってしまう傾向があります。

面談相談

面接相談とは、日弁連交通事故相談センターの相談所で、弁護士と対面で交通事故に関する相談を行うというものです。
相談を希望する方は、最寄りの相談所に、電話をして、相談の申し込みを行った上で、相談所に来所し、相談を受けます。
相談の対象は、電話相談の場合と同様、自賠責保険または自賠責共済に加入することを義務付けられている車両による国内での「自動車・二輪車」事故の民事関係の問題に限られます。

具体的には、次の事項を相談することができます。

  • ・損害賠償額の算定
  • ・保険会社から提示された賠償額の適否等
  • ・賠償責任の有無、過失割合
  • ・損害の請求方法
  • ・政府保証事業の利用に関する相談等
②示談あっせん手続き

示談あっせん手続きは、面談相談の際に、相談担当の弁護士が示談あっせんに適する事案であると判断した場合に、示談あっせんの申立てを行うことで開始されます。
示談あっせん手続は、3回程度の期日の間に、当事者双方から事情を聴取し意見の調整を図り、あっせん案を提示します。
そして、あっせん案に当事者双方が同意をすれば、示談が成立します。

③審査手続

審査手続は、示談が成立しなかった場合に、被害者側から審査の申し出をすることによって開始します(なお、審査の申し出ができる事案は、限定があります)。
審査の申し出がなされると、弁護士3名で構成される審査委員会により審査意見が示され、被害者が審査意見に同意したときは、加害者の共済は審査意見を尊重しなければならないとされています。

3.交通事故紛争処理センター

交通事故紛争処理センターとは、交通事故裁定委員会を前身として昭和53年に設立されたADR機関です。

令和2年7月時点では、全国11か所にしか、相談センターがなく、利便性の面では日弁連交通事故相談センターと比較すると利用しにくいADR機関となります。

交通事故紛争処理センターでは、次項でご説明するとおり、①相談、②和解あっせん手続き、③審査手続きの3段階の手続があります。

手続きの流れ

①相談

同センターの手続の利用を希望する場合は、原則として自分の住所地又は事故地におけるセンターに電話予約を行い、第1回相談日を決定します。
相談では、和解あっせんを前提とした相談が行われ、相談担当の弁護士が相談者と面接をして、主張を聴取し、提出された資料を確認し、問題点を整理したり、助言を行います。
通常、1回目の期日(相談)では、相手方は出席せず、次回期日以降に、相手方が出席し、和解あっせん手続を行います。

②和解あっせん手続き

2回目以降の期日では、担当の弁護士が当事者双方から事情や主張を聴取し、意見の調整を図ります。
3回目以降の期日では、担当の弁護士からあっせん案の提示があります。
あっせん案に当事者双方が同意した場合には、和解が成立し、手続が終了します。

③審査手続き

和解が成立しなかった場合、当事者は審査の申立てをすることができます。
申し立てがなされると、同センターに所属する審査員3名以上による評決で裁定が行われます。
同センターとの間で裁定を尊重するとの合意をしている保険会社は、裁定に事実上拘束されることになります。
しかし、被害者が裁定の内容に不満がある場合には、拘束力は生じません。
もっとも、そのような場合は、合意による解決は困難であると考えられるため、訴訟手続等の手続を利用し、紛争の解決を図ることとなります。

   
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