自賠責基準・任意保険基準・裁判基準とは

自賠責基準・任意保険基準・裁判基準とは

交通事故に遭い、インターネットで損害賠償請求について調べていると、自賠責基準で算定すると損害額が少なくなり、裁判基準(弁護士基準)で算定すると損害額が多くなるという情報に触れることがあります。
しかし、情報を見ていると、自賠責基準では少ない、裁判基準だと多くなるということばかり書いてあり、どのような仕組みから損害額に変化が生じるのか、整理して説明しているページは多くありません。

そこで、本稿では、自賠責基準・任意保険基準・裁判基準が、それぞれどういうものなのか、どのようなメリット・デメリットがあるのかご説明いたします。

自賠責基準とは

自賠責基準とは、自賠責保険から損害賠償を受ける場合の損害の算定方法となる基準です。
自賠責保険は、交通事故による被害者を救済するため、加害者が負うべき経済的負担を補填することにより、基本的な(最低限の)対人賠償を確保することを目的としています。
したがって、自賠責基準は、裁判基準と比較すると、相当程度低い基準となっています。

具体的な支払限度額は、次のとおりとなっています。

傷害に関する部分 120万円
後遺障害に関する部分 等級により75万円から4,000万円
死亡保険金 上限3,000万円

メリット

  • 加害者が任意保険に加入していない場合でも最低限の補償が受けられる(府保証事業による損害てん補制度。内容は自賠責基準と同じもの)
  • 過失相殺の適用が緩やかであり、死亡事故で重過失がある場合でも最高5割、傷害の場合は最高2割までしか減額されないため、被害者の過失割合が比較的大きい場合には、任意保険基準や裁判基準より有利となる場合がある

デメリット

  • 3つの基準の中で、最も低額な基準

任意保険基準とは

任意保険基準とは、それぞれの任意保険会社が独自に定めている保険基準になるため、支払基準は、保険会社によって異なります。
対人賠償保険については、自賠責保険がありますが、限度額があるため、不足分を補う関係にあり、多くの任意保険の対人・対物賠償の限度額は、無制限となっています。

したがって、任意保険は、自賠責保険の保険金を上積みする保険となります。
しかし、支払基準については、いずれの保険会社の基準も、裁判基準と比較すると低額となっています。

もっとも、保険会社が損害の算定・示談交渉を行うため、簡易・迅速に賠償金の支払いを受けることができますが、被害者に過失がない場合には、被害者側の任意保険会社に支払義務がないため、示談交渉を行ってもらえないため、注意が必要です。

以上から、任意保険基準のメリット・デメリットをまとめると次のようになります。

メリット

  • 保険会社が損害の算定・示談の代行を行うため、簡易・迅速に賠償金の支払を受けられる

デメリット

  • 裁判基準と比較するとほとんどの場合、支払基準が低額である
  • 任意保険基準は、公開されていない
  • 被害者側に、過失がない場合には、示談の代行は行ってもらえない

裁判基準とは

裁判基準とは、過去の判決を調査・分析し算出した基準です。弁護士基準とも呼ばれます。

具体的な内容は、公益財団法人日弁連交通事故相談センターの発行する「民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準(通称:赤い本)」にまとめられています。

裁判官も交通事故に関する事件を扱う際は、参考にしていますが、まとめられている基準は、一応の目安であり、実際に判決で認容される慰謝料等の金額については、事件の内容等により、変化する可能性があります。

交通事故に関する事件を弁護士に依頼した場合、弁護士は、裁判基準の賠償額をベースとして相手方と交渉を行います。
したがって、必ずしも公表されている裁判基準と同じ結論になるとはいえませんが、任意保険基準と比較すると多くの場合、増額できる傾向にあります。

メリット

  • 他の2つと比較すると、高額な基準となっている
  • 弁護士に相談の上、弁護士が交渉を進めるため、自分で行う手間がない

デメリット

  • 弁護士に依頼する必要がある
弁護士に相談するタイミング
   
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