第五回は、遺産の一部分割制度についてご説明します。
遺産分割事件を解決するためには、争いのない遺産について先行して一部分割を行うことが有益な場合があり、実務上も、一部分割は行われていました。
しかし、一部分割についての明文の規定はありませんでした。
そこで、平成30年の相続法の改正で、民法907条1項の文言を「遺産の全部又は一部の分割をすることができる」と改め、共同相続人間の協議により一部分割が可能であることが明示されました。
これにより、争いのない遺産については、先行して分割を行い、紛争の範囲を縮小していくことが可能になりました。
一部分割がなされると、遺産分割協議書又は調停調書に、当該一部分割が残余財産の分割に与える影響について、通常、記載がなされます。
記載がある場合は、その記載のとおりとなります。
しかし、影響の有無に関する記載がない場合、一部分割の内容を検討して影響を及ぶかを検討することになります。
一部分割の内容が共同相続人間に、不公平を生じさせるものである場合には、残余財産の分割に際して、一部分割により遺産を取得した共同相続人の取得分に影響を及ぼすと考えられます。
もっとも、残余の財産への影響について協議が調わなければ、一部分割を行わないだろうという考えから、影響の有無に関する記載がない場合は、残余財産の分割の際には、一部分割の内容は考慮されないという考え方もあります。
そのため、後の紛争を防止するという点からも、一部分割の結果が残余財産の分割に影響を与えるのか、遺産分割協議書等に明示することが重要となります。
令和元年7月1日
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